合同会社でも「代表取締役社長」と名乗れる!?
合同会社の代表者様の名刺を作成したり、ホームページに記載する場合に肩書をどのようにしたら良いかというご質問をいただくことがあります。一般的な回答として、合同会社の代表者は「代表社員」ですので、単に「代表」や「代表社員」と記載するようにご案内しています。ですが、合同会社の中には代表者を「代表取締役社長○○」と記載している会社も見られます。
「代表取締役社長」でもOK!?
例えば、Amazonの日本法人も「アマゾンジャパン合同会社」ですが、代表者を社長と記載しています。また、富士通のスマートフォンブランドarrowsで有名なFCNT合同会社(富士通コネクテッドテクノロジーズ)は、もともとFCNT株式会社でしたが、経営再建のため新しく設立されたFCNT合同会社に事業譲渡を行っています。株式会社時の代表取締役社長が新しい合同会社でも代表を務めていますが、肩書は引き続き「代表取締役社長」になっています。
結論から説明すると、法律上は「代表社員」と呼びますが、「代表取締役社長」と呼ぶことも禁止されていないので自由に名乗ることができる、が答えになります。
合同会社の代表者は、登記簿上は「代表社員」と記載されています。そのため、これらの例の「社長」や「代表取締役社長」という役職は、その会社で定めた役職ということになります。合同会社は、定款で自由に役職や取締役会を設置したりすることができるのです。
ですが、合同会社で「代表取締役社長」と記載することはあまりオススメしていません。定款で自由に決めることはできますが、取引先などの第三者からその合同会社を見たときに「登記上の代表社員と異なるのか?」などの疑問が出てくることもあります。会社の代表や役職がどうなっているのかを定款に定めておくことで紛争を防止することもできますが、会社の定款を第三者が見る方法は限られています。一方で登記簿は誰でも見られるので、「代表社員」が誰か簡単に確認することができます。
株式会社ならOK?
株式会社のトップは、一般に「代表取締役社長」と記載されていることが多いですが、株式会社の代表取締役社長という肩書の「社長」という言葉も会社法上定められている言葉ではありません。株式会社であろうと「社長」という肩書は、社会一般で使われているトップを表す言葉でしかないのです。
一方で、「代表取締役」という言葉は大事で、その人物が株式会社の代表権を持っていることが登記簿でも確認することができます。「代表取締役」のあとに「会長」や「副社長」となっている会社も多くありますが、代表取締役であることには変わりませんので、取引先などの第三者からすれば代表権があると判断できます。
結論
合同会社でも「代表取締役社長」を名乗ることは可能ですが、株式会社と誤認させる可能性もあります。どうしても使いたい場合は、取引先や顧客に誤解を与えないよう、会社の種類を明確に伝えましょう。