【2024年最新】建設業許可 申請前に知っておきたい基礎知識
建設工事の完成を請け負うことを営業するには、「軽微な建設工事」※のみを請け負って営業する場合を除いて、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受ける必要があります。
※建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事、建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事をいいます。
建設業許可の種類
建設業許可には、以下の区分があります。
- 大臣許可と知事許可
二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合は、国土交通大臣の許可が必要です。都道府県知事の許可でも建設場所などの制限は無いので、例えば東京都知事の許可で大阪の工事が可能です。
- 一般建設業と特定建設業
下請契約の規模等により「一般建設業」と「特定建設業」に分かれます。発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結する場合は、「特定建設業」の許可が必要です。
- 業種別許可制
建設工事は、29の種類に分類されており、この建設工事の種類ごとに許可を取得することとされています。営業しようとする業種ごとに取得する必要がありますが、同時に2つ以上の業種の許可を取得することもできます。
建設業許可の取得要件
建設業許可を取得するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者等の設置
建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者を最低でも1人設置する必要があります。経営業務の経験として認められる要件として、「建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有すること」などがあります。 - 専任技術者の設置
営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置する必要があります。一般と特定で必要な技術者がことなります。 - 財産的基礎
一般と特定で必要な要件は異なりますが、建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることが求められます。 - 一般建設業(下記のいずれか)
自己資本が500万円以上又は500万円以上の資金調達能力を有すること - 特定建設業(下記のすべてを満たすこと)
欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
流動比率が75%以上であること
資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること - 請負契約に関して誠実性
- 欠格要件
建設業許可を受ける事業主や役員等が下記の欠格事由に該当しない者とされています。具体的には以下の通りです。
- 成年被後見人、被保佐人、または破産者で復権を得ない者
- 不正の手段で許可を得た等により許可を取消されて5年を経過しない者
- 許可の取消しを回避するため廃業届出をした者で、届出日から5年を経過しない者
- 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または及ぼす恐れが大きいとき
- 請負契約に関し不誠実な行為をしたことにより営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
- 一定の法令に違反したことにより罰金刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等
建設業許可申請の流れ
建設業許可申請の流れは、以下のようになります。
- 許可の種類や要件を確認
取引先に求められている許可の種類や取得に必要な要件を確認します。 - 必要書類の準備
申請書類一式の作成や各種証明書を役所などから取得します。 - 申請書の提出
管轄の都道府県または国交省の地方整備局等に申請書を提出します。 - 審査
提出された書類に基づいて、審査が行われます。東京都で1か月、大臣許可の場合は、4か月程度かかります。 - 許可
審査に通れば、建設業許可通知書が交付されます。
建設業許可申請に必要な書類(東京都の場合)
建設業許可申請に必要な書類は多岐にわたりますが、主なものは以下の通りです。
- 許可申請書
- 許可を受ける事業者に関する証明書
法人の場合は登記事項証明書を、個人の場合、住民票の写しを用意します。そのほかに納税証明書や定款などを用意します。 - 事業主や役員に関する証明書
成年被後見人等として登記されていないことや破産宣告を受けていないことを証明する書類を用意します。 - 経営業務の管理責任者に関する書類
①常勤で在籍していることを証明する書類
常勤役員等の健康保険証や確定申告書、登記事項証明書等を用意します。
②経営等の経験について確認できる書類
勤めていた法人の登記事項証明書や事業主だったことがわかる確定申告書等を用意します。 - 専任技術者に関する書類
①常勤及び専任で在籍していることを証明する書類
専任技術者の健康保険証や確定申告書、登記事項証明書等を用意します。
②技術者要件について確認できる書類
卒業証明書や資格証明書のほか、実務経験を証明する場合は過去の勤務歴や工事履歴を証明する書類を用意します。 - 財産的基礎に関する書類
直近の財務諸表や銀行口座の残高証明書を用意します。 - 社会保険に関する書類
加入している健康保険・厚生年金・雇用保険などの証明資料を用意します。 - 営業所に関する書類
営業所の賃貸借契約書や写真を用意します。
実務経験を技術者要件とする場合の提出書類について
「実務経験」とは、許可を受けようとする建設工事の施工に関する技術上の経験をいいます。具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験をいいます。これには、現場監督技術者としての経験も含まれますが、工事現場の単なる雑務や事務の仕事は、実務経験に含まれません。
指定学科修了が無い場合、許可を受けようとする業種の建設工事における技術上の経験が10年必要になります。
※実務経験で2業種以上申請する場合、業種ごとに原則 10 年以上の経験が必要で、実務経験期間は重複不可です(2業種を申請する場合は 20 年以上必要)。
※異なる業種間での実務経験の振替えは、以下に挙げる組合せでのみ、振替えは可能。
土木一式 | ⇒ | とび・大工、しゅんせつ、水道施設 |
建築一式 | ⇒ | 大工、屋根、内装、ガラス、防水、熱絶縁 |
大工 | ⇔ | 内装※大工と内装は相互に振替えが可能 |
とび・土工※例外あり | ⇒ | 解体※例外あり |
下記は、個人事業主が建設業許可を有していなかった期間を実務経験とする場合に必要な書類の例です。
- 工事請負契約書・工事請書・注文書又は請求書等の写し
業種内容が明確に分かる期間通年分の書類が必要です。請求書、押印のない工事請書・注文書等については、さらに入金が確認できる資料による補足が必要です - 証明期間の常勤性を示す資料
実務経験期間、事業主として在籍していたことを証明する健康保険証や確定申告書等を用意します。
上記は、管轄の都道府県などによって異なる場合があります。必ず事前に確認してください。
建設業許可の取得は結構大変かも!?
建設業許可の種類や要件について簡単に解説しましたが、ご自身の状況によって必要な書類などが変わってきます。古い書類が無かったり、経験や資格が足りなかったりと要件を満たせない場合もあります。特に実務経験などは10年分の書類を集めなければならない場合もあり、非常に手間も時間もかかってしまいます。何があれば要件を満たせそうかなど、お気軽にお問い合わせください。